パン屋黒字化

7割のパン屋が黒字化。業態転換が進む今、商業不動産はどう動く?

— 店舗需要の変化が生む「街の価値」と売却タイミング —

パン屋の倒産件数が大幅減となり、7割が黒字化したというニュースは、一見「飲食業界の話」のように見えます。しかし、実は 商業不動産市場・駅前エリアの価値・空き店舗需要 に直結する重要なシグナルです。 都市部・観光地・住宅街すべての立地で、パン屋=ベーカリーは「街の生活価値」を支える存在。その再活性化は、周辺不動産の評価や取引にも影響を生み始めています。

 

■ パン屋倒産の減少は「店舗需要の回復」の証明でもある 2025年1〜10月のパン屋倒産は 15件 と、前年(26件)から4割減。 原材料高、人件費、エネルギーコストの“三重苦”にもかかわらず黒字化が進んだ背景には次の構造変化があります。

● ① インバウンド効果で観光地のパン屋が復活 外国人旅行客は「日本のパン文化」に強い関心があり、 観光地立地のベーカリーは 集客力=立地価値を証明する存在 に。

● ② SNSを活用したブランディングが台頭 Instagramで「行列パン屋」が生まれ、後発店もリピーター確保が容易に。 つまり、小規模店舗でも勝ち筋が作りやすい市場へ変化。

● ③ コメ価格高騰でパン需要が増加 主食がわりの手ごろな総菜パン・菓子パンが伸び、 2025年の2人以上世帯のパン消費額は コロナ前比 約10%増。 この「パン屋復活」は、そのまま 商店街の空き店舗減少・路面店需要の回復 を意味します。

 

■ 黒字化の理由は“値上げの納得感”と“付加価値戦略” 2024年度は7割近くのパン屋が黒字。 価格競争ではなく「価値で売る」方向が成功しています。 主食パンは手頃な価格を維持 国産素材・ストーリー性のある商品は付加価値価格へ ベーカリーカフェ化でイートイン・滞在時間UP コンセプト特化型ベーカリーでニッチ需要を獲得 パン屋が“パンを売る場”ではなく 地域の憩いの場/観光客の立ち寄りスポット =街の価値を上げる事業 に進化しているのがポイントです。

 

■ パン屋の進化が不動産市場に与える3つの影響 売主が知っておくべきはここから。 パン屋の業態転換は 店舗需要・商業地価・空き家活用 に直撃します。

① 空き店舗の需要が回復し、商店街や住宅街の評価が上向く SNS集客で郊外や住宅街でも成功店舗が増加。 そのため、 駅近の小規模店舗 商店街の路面店 住宅街の小さなテナント に再び需要が戻っています。 空き店舗の売却・賃貸は、近年で最も動きやすい局面 に入りました。

② 「ベーカリー開業の相談」が土地・店舗売却の動機になる パン屋は設備投資が軽く、厨房付き物件はすぐに動く傾向があります。 売主が持つ以下の物件は、今まさに強い需要に乗れる可能性が高いです。 元飲食店 古い喫茶店 住宅併設の店舗 商店街の空きテナント “パン屋が入れるかどうか”は物件の魅力を左右するポイント になっています。

③ ベーカリーカフェの増加で、郊外住宅地の価値が上昇 近年伸びているのは、 イートイン可能なベーカリーカフェ ファミリー層が集まる住宅地型店舗 焼きたて提供の地域密着店 こうした店は 生活圏の魅力を高め、住宅地の不動産価値にもプラス を生みます。 住宅街の不動産売却においても、周辺に良質なベーカリーがあることは購入者の評価ポイントとなり、 「住みやすさ=資産価値」 を押し上げる要素になります。

 

■ 売主にとっての“今”のチャンス パン屋市場の回復は、ローコスト・高回転のテナント需要の復活でもあります。 売主が今押さえるべきは以下の3点。

◎ (1)空き店舗・古い店舗物件は今が売却しやすい局面 パン屋に限らず、飲食系テナント需要が回復。 店舗不動産の査定額が上向くエリアも増加中。

◎ (2)住宅街の「商店街・ベーカリーの有無」で成約率が変わる 売却時の周辺環境説明では“生活利便性”がより重要に。 パン屋・カフェの存在は評価ポイント。

◎ (3)郊外ほどベーカリー需要が強く、土地活用の可能性が広い 駐車場併設の小規模店舗は需要が高く、 土地売却・駐車場運営・貸店舗のいずれでも収益化しやすいです。

 

■ まとめ:パン屋黒字化は「街が再び動き始めた」サイン パン屋の復活は、外食・観光・住宅地すべてのエリアで、 街の「生活価値」「歩行者の動き」「空き店舗の活用」が進む前兆でもあります。 ぱんだhouseとしては、 “店舗需要の回復=不動産価値の回復” と捉え、 売主様・地主様が最も有利に動けるタイミングを丁寧に提案してまいります。

2025年12月04日