収益移転防止

🚨FATF声明を受けた「犯罪収益移転防止法」の徹底

―不動産取引における“本人確認強化”と“リスク対策”がさらに重要に―

2025年10月24日、FATF(金融活動作業部会)が採択した最新の声明に基づき、警察庁・財務省は「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」の適正な履行を改めて要請しました。 とくに不動産業界は「資金移動額が大きい」「所有権移転が犯罪収益の隠れ蓑に使われやすい」という特性から、国際的にも最重要分野として位置づけられています。 今回のFATF声明を、不動産取引の実務にどう落とし込めばよいのか――売主・買主双方に関係するポイントを詳しく整理します。

 

■1.FATF声明のポイント 今回のFATF声明では以下の国・地域について注意喚起がなされました: 北朝鮮・イラン  → 国際金融システムを守るため「対抗措置の継続・強化」を要請 ミャンマー  → 資金洗浄・テロ資金供与対策の欠陥が改善されていないとして   “厳格な顧客管理措置(Enhanced Due Diligence)”継続を呼びかけ これは世界の金融機関だけでなく、不動産会社・司法書士・宅建業者など幅広い事業者に関連します。

 

■2.不動産取引で求められる本人確認の強化 FATF声明を受け、日本国内でも「犯収法に基づく取引時確認」がより厳しく求められます。 不動産取引での具体的な影響は以下のとおり: ●① 本人確認書類の厳格化 パスポートの有効性確認 在留カードのICチップ確認 法人取引では実質的支配者の特定が必須 外国籍の顧客の場合は、対象国・リスクの高さに応じて追加確認が必要となる場合があります。 ●② 資金の出所(Source of Funds)の確認 預金残高証明 売却代金の入金経路 融資を用いる場合の申請内容と整合性確認 資金ルートが不明確な場合、取引そのものを進めることができません。 ●③ 疑わしい取引の届出 「大金の現金持込み」「名義を変えて複数取引」「説明の一貫性がない」 など、少しでもリスクがある場合は、宅建業者が届出義務を負います。

 

■3.国際情勢と不動産取引の関係は? 不動産は“動かない資産”ですが、犯罪収益の隠れ蓑として世界的に利用されやすいことが背景にあります。 高額取引 複雑な所有権スキーム 海外送金との関連性 法人名義取引の多さ これらがマネーロンダリングの手段として悪用される可能性があり、FATFは不動産セクターを重点監視の対象としています。 今回の声明により、 「不動産業者の顧客確認が国際基準としてより重視される」 という流れが加速すると言えるでしょう。

 

■4.売主・買主が注意すべき点 不動産取引において、FATF声明が直接的に影響するのは以下の場面です: ◎売主 買主の本人確認手続きが通常より時間を要する可能性 契約締結前の資金出所確認の厳格化 法人との取引では「実質的支配者確認」が必須化 ◎買主 資金の出所を明確に証明できる資料が求められる 海外在住の場合は追加書類の提出 高額現金取引のリスク説明への対応 どちらにとっても、 “透明性の高い取引資料の準備”が成功の鍵となります。

 

■ぱんだhouseコメント 不動産取引は国際的な規制が年々強化され、「正しく確認する」姿勢がますます重要になりました。 実務上は少し手間が増えるものの、適正な本人確認は売主・買主双方の安全を守るプロセスです。 ぱんだhouseでは、透明性を最優先にしながら、法律遵守のうえでスムーズな取引となるよう全力でサポートいたします。

2025年12月15日